更年期障害

(更年期不定愁訴症候群)


定義
分類
治療
鍼灸治療


定義

  1. 「更年期に起こる不定愁訴症候群を更年期障害と言う」・・九嶋
  2. 「更年期故に、起こる不定愁訴症候群を更年期障害と言う」・・長谷川
  3. 「更年期に卵巣ホルモンの分泌低下に伴って、起こる血管運動神経症状(hot flush)を中心とする症候群」・・五十嵐
  4. 「更年期に現れる多種多様の症候群で、器質的変化に相応しない自律神経失調症」

年齢はおよそ45歳から55歳ぐらいの期間を指します。
※病因論的には、卵巣機能低下を主として、環境因子、文化的因子、性格的因子等が絡み合って起こる症状とも言われます。

 

分類

  1. 身体病型・・・卵巣機能の衰退によるもので、本障害の30%を占めると言われます。
    <症状>
    血管運動神経障害が主で、顔のほてり(hot flush)、発汗、肩こり、冷え、自立神経失調状態があり、心理的要素は少ない。
  2. 心身症型、神経症型・・・両者併せて約50%から60%を占めると言われます。
    <症状>
    心身症型は生活環境に無意識に無理して適応症としたために生じた精神的ストレスによる身体の破綻によるもの。
    神経症型は先天的又は幼児期に形成された気質的によるものが多く、環境への適応が遅く、訴えが多いとの症状がみられる。
  3. うつ病型・・・まじめで責任感の強い方がなりやすく、物事に対する興味や、やる気が消え失せてしまい、強い焦燥感となって現れる。初期は仮面うつ病といって症状はほとんど現れない。倦怠感、及び神経症状を訴える。注意が必要。
    <症状>
    頑固な不眠、体の調子の日内変動があり、午前中に愁訴が多い。励ましの言葉は禁忌です。

 

治療

治療はホルモン療法(女性ホルモン・エストロゲン投与)自律神経調整剤、及び、東洋医学(鍼灸・湯液)等、状況に応じたアプローチをおこない、更年期期間を乗り切るように治療をする事が望ましい。
更年期障害は鍼灸及び、湯液・ホルモン療法等とを併用して行うと、より効果的です。いずれにしても治療は長期的に続ける必要があります。

 

鍼灸治療

使用する経絡:任脈・督脈・厥陰心包経・少陽三焦経・太陽膀胱経・厥陰肝経

 

・少陰腎経

 下肢(◎太衝、○築賓、○復留)
 腹部(○中かん、○気海、◎関元)
 上肢(○陽地、◎ゲキ門)

・背部(◎心兪、○腎兪、◎天柱)

等の穴を使用すると大変効果的な結果が出ます。

 

☆ 本症に対する当院での治療についてはこちらを参照下さい。